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戦ってみるか ─僕とシャープの100日戦争─ ⅱ [怒りのツボ]

 今回は、丁寧でやわらかい対応をする女性で、僕が経緯を話すと、同機種を使って調査してみてから、改めて電話をくれるとのこと。
 1時間程して、連絡が入った。
 録画の途中で、人影が入る等の理由で撮影画面内の明るさに影響を与えるような変化があると、その瞬間、そうなる(コマ跳びが起 きる)場合があるが、基本的にそういうことがなければ、音跳びすることはないという。
 僕は、自分の弾き語りの撮影は、独りで、携帯電話を固定して行っている。上のようなアクシデントは起きようがない。
 僕は答えた。
 「それは心強い答えです。この製品は、音跳びなどということは基本的に起こり得ないということですね。つまり、僕が購入し手にした最初の1台、そして交換していただいた2台目のみに問題があったということですね。何万台に1台という恐ろしく稀なケースが、偶然にも、僕に連続で2回起こったということですね。それなら希望が持てます。次は大丈夫でしょう。これから店に行って、3台目の交換をしてみます。シャープさんの製品には、これまでにもお世話になっていますし、信頼していますので、何万台の交換にも付き合いますよ。」
 論理的に淡々と意を伝えるつもりだったが、僕の声は相当上ずっていた。
 図らずも、心拍数は上がり、声は震え、時々唾が喉を通った。
 しゃべっているうちに、根底にある怒りが流出したのだろう。2台目でも、1台目と同じように音跳びが起きた時の失望感。そして、その悔しい思いを生んだ事実に対してにわかに信じられない様子のサービス員への苛立ちからくる怒り。
 
 通常なら、その程度の製品だったのだということで、弱々しい自嘲気味な微笑みとともに泣き寝入りするところだろうが、ここは一つ、敢えて戦ってみようと思う。
 戦う相手は、具体的にはシャープなのだが、本当の相手は、何かもっと別な何かなのかもしれない。それは、たとえば世間体を意識した抵抗感や、正しいことに単純に向かう勇気を喪失した自分に流されることなのかもしれない。
 この戦い。
 僕側の強みは、僕が確かに、一方的に実害を被った者であるという明らかな事実である。これは、相手を心置きなく叩きのめしてよいという、自他に対するお墨付き、保証書とも言える。刑事が凶悪犯罪者を現行犯で捕まえる際に、ある程度思い切り殴っても非難を浴びることはなく、それどころか拍手すら受けるという状況に似ているかもしれない。
 戦ってみよう。
 僕は、特に正義の味方ではないし、それのために生きることに快感を覚える人間でもない。だが、せっかく正義が味方している時に、その機会を使わない手はないのではないか。
 それと、不条理な目に遭った時、それを‘大人’しくへらへらと受け入れることをせずに、徹底的に戦ったら、どうなるんだろう。どんな答えが返ってくるのだろう。
 そんな好奇心が動機のエネルギーなのかもしれない。問われているのは、ゲーテがあれほど重要視したもの、勇気なのかもしれない。
 
 
 
 
 
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