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見えない川の寓話 [丘の上から]

 僕はいつも、川を見つけたいと思っていた。
 人を取り巻くこの世界の空間には、たくさんの見えない川があって、その人が、うまく自分に合った川を見つけ出せれば、必然的に流れ着くその先には、その人の望む物が待っている。
 その川の流れに乗って泳ぐことが努力。外から見ると、普通に努力しているという事実にしか見えない。
 でも、人から見て苦痛に見えるその努力は、主観的には、いつも喜びを含んでいる。
 都合のいい棚ぼた式の利益が得られるのではない。
 川に入れても、泳がなければ、目的地に着くまでに、他の人同様、寿命が尽きてしまうのだから。また、溺れて死ぬ可能性もある。
 只、その川に入った人は、とりあえずは泳がずにはいられない。
 川は、僕たちに平等に与えられた奇跡への可能性。
 但し、行為と結果、つまり努力と到達は不可分のものであり、そのきまりが外される奇跡は、起きない。
 そんな充実をもたらす川の入口には、その流れに入るための原因となる意外なきっかけが示されている。
 人は、それを偶然に、あるいは半信半疑で実行する。
 その時、その人は、自分は川の流れの中にいることを確信するのだ。
 いわゆる良識人たちは、フリーターやニートに「まず、自分が本当に好きなこと、自分を生かせるものを見つけなさい。」という。
 だが皮肉なことに、その川は、探すと見つからないのだ。

 

 

 


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