『無気力一代男日記』 5.軸足を選択する [俯瞰日記]
僕が新たに現業に携わるとしたら、可能性として二つの現場がある。
一つは、現在週2日入っている現場の別業務で、瀬崎社長もチームに加わっている工場内の作業。
もう一つは、僕がずっと管理業務のために所属しているY事務所内のスペースで、3人のバイトスタッフチームが長年回している業務だ。
どちらにコミットするにしても、その現業自体のノウハウをほぼ一から覚えなければならない。
工場の方の作業は、会社にとっての利益率が相当に悪いらしい。詳しい数字は知らないが、そこのチームにいる社員・島村との何気ない会話で、それを悟った。
以前、僕の管理下にいたアルバイト2人が、現在、島村のチームに属しているのだが、その2人ともが時給分の仕事ができていない、もっと言えば、労働生産性上、会社にとって赤字だというのだ。
この2人の仕事の能力は、よく知っている。決して、不真面目ではないし、バカでもない。
その彼らが、普通に真面目に一日8時間なら8時間きっちり仕事をして、赤になる……。
これは、異常な契約だ。
すぐに、そう直感した。
こんな食い物にされているような職場はごめんである。こちらの労働を安く買い叩かれている原因は、瀬崎社長の交渉力のなさによるものだろう。
一方のY事務所の業務は契約内容を知っている。
工場の方に比べれば、おそらく遥かに健全である。
職場の雰囲気は独自ではあるが、少なくとも、僕にとって無害だ。
腹は決まった。
僕は、Y事務所での作業業務の方に軸足を下ろすことにした。
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