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俺は‘こいつ’を愛してる。 [古典ポップス体験]

 ハロー ベイビー。  1652033
 音楽を聴いて、初めて鳥肌が立った時のことを覚えているかい?
 俺の場合、それは歌い手の声自体によるものだった。
 それから後は、詞で、メロディで、といった具合に、それぞれ別な歌い手、別な曲で、それは、やってきた。整理すると、
 
 
 メロディライン
 その後、何年も経ってから出会った種類めの理由は、その人の醸し出すスタイル(かっこよさ)のオーラだった。
 ここでは、について綴ってみたい。
 それは、シングルレコード、あの「抱きしめたい」のB面に潜んでいた。
 「This Boy」。邦題──、「こいつ」。
 期待もせず何気なく聴くのには、格好のタイトルだ。
 だから、余計、僕にとってのサプライズになったのかもしれない。
 Aメロは、彼らお得意の3重ハーモニー。
 と、サビに入った。ジョンの独唱。古期ロックンロールのような、ブルース歌謡のようなメロディ。
 
 Oh, and this boy would be happy,
 Just to love you, buy oh my-yi-yi,
 That boy won’t be happy,
 Till he’s seen you cry-hi-hi.

 それは、必死切ないとでも言うべき「哭(おら)び」だった。特に具体的に言うと、上の2行目後半の「バオマーーーー・ザッボーイ」のところ。
 思わず、「もういいよ、わかったわかった。」って言いそうになるくらいの叫びに、当時中2の俺には聞こえた。
 昔、ある心理学者が言っていた。「基本的に必死っていうのは、人にとって、かっこ悪いことなんですよね。」
 たぶん、それはその通りなんだろう。だから、感動したんだと思う。涙が出そうになったんだと思う。
 人が、なりふりかまわない時、ふいにリアルが立ち上がることがある。それを俺は、生まれて初めて見た(!)のかもしれない。
 レノンが、自分の少年の頃を回想して、「あの頃、ロックだけがリアルだった。」と語ったことがある。彼は、生後18ヶ月で親の離婚に遭い、18歳で母親を交通事故で失っている。
 年齢的に、まともに受け止めるには大き過ぎる悲劇の中で出会ったロックという劇薬。
 その時、ジョンは、悟ったのかもしれない。「リアルだけが、哀しみを越えさせてくれる」と。
 そして、たぶん彼は、その体験に基づいて歌った。
 何十年の時を経て、僕に伝わったのは、きっと、その体験自体の真実(リアル)だったのだろう。

 そういえば、『かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう』っていう奇妙なタイトルのアルバムを出した歌手が昔いたらしい。実感を言葉にしたら、論理的におかしなことになることは、往々にしてある。
 例えば、女性が思ってすぐに言葉を発した時に、そういうことがよく起きる。男は、その時、整合性や首尾一貫性のなさを指摘して、とりあえず笑うのだが。

 本気で恋している女性を見て、「あぁ、そんなに好きなんだ。」ってことが、強く伝わってくることがある。そんな時、心が動く。
 ラブソングに俺が求めているのは、そんな感動だったりする。
 冒頭に挙げた4項目の内のは、そういう意味での初体験でもあった。                                                

 


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