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きのうあった世界 [古典ポップス体験]

 ビートルズの「Yesterday」。

 この曲の原型となったメロディは、ポール・マッカートニーが夢の中で聞いたものだという。目覚めてからきちんと一曲に起こした時は、「いり卵の作り方」というユーモラスな曲だったとか。まぁ、「Yesterday」になるまでの過程はともかく、僕にとっては意味のある曲だ。

 

1652034

 

    昨日、僕がいた世界では、わずらわしいことはみんな遠くにあった
    今、それら憂鬱なことは、ここに戻ってきてしまった
    僕が信じたいのは、昨日あったような世界なんだ

 幸福な世界は、自分の気分が作る。嗚呼、単純な事実。ポール・マーカートニーにとって、この世界が幸福となる必要条件が、寄る辺となる恋人の存在だったということなのだろう。自然だ。

 幸福には、いつも、それに対応した理由がある。そして皮肉にも、その理由が苦しみをもたらす。それを失う恐怖、あるいは失ったショックだ。
 だから僕は、理由のない幸せが欲しいと思った、あんな小さな時に。そして、それを作ろうとした。
 でも、僕に幸福感が生じた時、いつもそれは、誰かがもたらしたものだった。好きな人の何気ない笑顔だったり、図らずも受けた慰めの言葉だったり。


 気持ちが、世界の心理的色彩を規定する。きっと誰もが実感していることだ。
 幸福な気持ちをもたらすもの、それを求めて、僕たちはあがき、時には奴隷にもなる。
 そして、不可抗力的にそれ(恋人)が立ち去った後、この「Yesterday」の主人公のように、呆然となり、泣き言を言う。


    僕が信じたいのは、昨日あったような世界なんだ

 そんな、ベタだが、人間の事実としての宿命的な悲哀を、僕は、改めて、この曲で確認しているのかもしれない。

 

  

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