自発性を探せ!① ─作業現場─ [俯瞰日記]
久しぶりだね、ソレル。
夏休みの宿題。大多数の人が、休みの最終日が間近に迫るまで、本気では手をつけない。あのロシアの文豪、ドストエーフスキーですら、締め切りギリギリにならないと、筆を取らなかったという話を聞いたことがある。
そう、僕たち人間は基本的に、面倒くさいこと、やりたくないことは、とにかく先回しにする生き物なのだ。
このブログのテーマの根底には、そんな事実が前提として横たわっている。
最近の個人的な問題としては…。
会社の仕事。
僕は昨年まで、人が各現場に入るための手配をする管理者でいればよかった。
しかし、まさに今、状況が変わりつつある。一昨年後半頃から取引先が次々に消えていって、昨年末には、ついに最も大口の取引先までが、これまでの仕事の9割を他の業者に切り替えてしまったのだ。
僕の管理する事務所の収益は、半減以下になってしまった。
そんな経緯で、僕は、今年8月から現場の作業に参加せざるを得なくなったというわけだ。
既に中年の域に差し掛かっている僕が、入ったことのない現場で、1からノウハウを年下の社員に教わらなければならない。
最初に入ったのは、確か、8月17日だった。
あぁ、ぼーっとして、相手の言っていることが、よく入ってこない。どうやら、僕が、この作業の基本的なところは、ある程度押さえているという前提に立っているようだ。
作業している僕を、質問はないのかという目で、指導係の現場社員が見ている。
「どうですか?」
そう言われても、まだ手探り状態だ。気の利いた質問なんて思いつかない。
とにかく‘今日は帰りたい’という発想が心に湧き上がってくるばかりだ。
何とか集中して、質問の言葉を考えて言ってみたら、「あ、それさっきも言いましたけど、」という前置きをして説明してくれる。
あ、そうだった。さっき、説明してたな、そう言えば。
しばらくして、また、その現場社員が、僕の作業をじっと見ている。もちろん、彼に悪気はなく、早く覚えてもらおうという親切心からだ。
僕は、また別な質問をした。これは、まだ説明してもらっていないことだ。
すると彼は、「さっきも言いましたけど、」と言って教え始めた。
‘え~?’
聞いてないよ~とは言えない。あるいは確かに説明していたかもしれないからだ。何しろ、今、僕は、ぼーっとしているのだから。
あ~ダメだ。何ということだ。これまで、僕は、上の方のレベルで先方との取引や打ち合わせをして、現場の人を動かしていた。
だが、どうだ。これまで指示を出していた現場の仕事を、いざ自分がやってみると、とんだ‘でくの棒’だ。
まだ覚えることの2割も教わっていない時点で、学習能力のなさを遺憾なく発揮している。
こないだまで、‘社長になってくれないか’と言われたら、どう断ろうと空想していたことが、笑える。
今日は9月6日。あれ以来、1度もその現場に入っていない。
行こうとするが、足が向かない。
それが許される会社であるという事実が、このブログのテーマに繋がる大きなポイントと言える。
僕をその現場に行かせるのは、僕の‘自発性’だけなのだ。
恐ろしく面倒くさい。無気力性が僕を捕らえる。ここ最近、悪い(身体的)病気かもしれないという心配や強迫観念もある。
しかし、冒頭にも書いたとおり、実際に、その現場に入る時間はあるのだ。常識的に考えれば、早急に現場でノウハウを習得して、戦力としてある程度は入らないと、単純に僕は、不採算人員であり続けるということになる。
頭では分かっているのだが、自我が抵抗する。何かと言い訳をする。入れない理由を作るのだ。たとえば、こんな気持ちで行っても意味はないし、良い結果を生まないだろういったこととかだ。
自我は、相変わらず抵抗し、僕の逃走を促す。
しかし、そうしている限りにおいて、根本的な苦しみ、つまりこのブログのテーマにも繋がる‘僕が超えたい、あのうんざりするような寂しさ’は只継続するのみだろう。
自我が抵抗するところへ、この身を放り込む。
確か、それが、このブログの基本テーマだったはず。
だが…、
《‘だが’はいらない!》
うるさい!
だが、この身を放り込ませるのは気持ちのエネルギーだし、放り込んだあと、新たな発見の前提となる、未知の事態への対応にも、気力がいるのだ。先月、行った時、僕はどうなった? ぼーっとした状態で、何も起きなかったんだぞ。どうせ、あの繰り返しだ。それでも、入った方がいいと本当に言えるか?
《自我の抵抗は、この上なく巧妙だ。》
ああ、そうかもしれない。
今、ミスター・チルドレンの昔の曲をふと思い出したよ。
♪僕を走らせてくれ、僕の中にあるエス
強制を待つ僕は、奴隷なのかもしれない。
それにしても、自発性って何だろう?
「君たちも積極的に動いてくれ。」という指示を受けて、「はい!」と言って、ガーっと動くことが、本当に積極性か?
《自我の抵抗は、この上なく巧妙だ。》
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