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正直さは、誰のため? [泡沫の感興]

 昔、あるテレビ番組で、秋元康が作詞家として、「これが、歌のタイトルとして、僕にとっては究極です」と言って、

 「初恋の人に似ている」(作詞:北山修)

を挙げていた。

 僕にとっての究極のタイトルは、

 「人間は何て悲しいんだろう」(あのねのね)、これだ。

 歌詞自体の内容は、普通の悲しい恋愛フォークものだったと思う。まるで覚えていない。

 タイトルだけが、この上ない印象として残っているだけだ。

 自分の周辺で、世界中で起きているいろいろな出来事や、人の行為。

 僕は、正義の実現や平和を唱えたり訴えたりしたいとは、全く思わない。そんなことに燃えている人たちも含めて、僕には、ただ、

 「人間は何て悲しいんだろう」という感慨があるだけだ。

 ネガティヴなうつうつ世界に浸って、よがっているわけではないが、只、ある種の心地よさはある。

 何だろう、本当のことが表現されたという事実そのものが生み出す一種、癒しのような心情というか。

 理想や評価や風潮や‘空気’に関係なく、単純に本当のことを言う。

 これは、きっと、究極、良いことなんだと思う。

 だから僕は、堂々と言い切る。とても清廉で明るくクリアーな心で。

 「人間は何て悲しいんだろう」

 

 

 


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