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僕は、「離人系」 1 [見て取られた自己]

 小学校の低学年だった頃、近所に、思ったことをすぐに言葉に出すオバサンがいた。そういう人は、常識的に失礼とされることをポンポン言うのだが、小さかったからか、僕が単に鈍かったのか、このオバサンに、そういうことを言われても、特に傷ついたという記憶はない。
 例えば、こんなことである。
 原色そのままの明るい黄色のセーターを着ている僕に、「あなた、色盲?」と言ってくる。もちろん、彼女に悪気はない(たぶん)。
 そんな時、僕の横にはいつも母親がいた。母親は小売店の商売をやっていた。僕がよくその仕事場にいて、その‘のほほんオバサン’は、店の客だった。
 あとで聞いたら、むしろ母親の方が、そのオバサンの言葉にイチイチ腹を立てていたようだ。
 色盲?と言われた僕は、そのオバサンに対して、答えた。
 「僕、目だけはいいんだよ。」
 どうやら母親は、それを、僕なりのアイロニカルな言い返しと取ったようで、あとで、「あの時は気持ちがすっとした。」と言っていた。
 また別な日に、そのオバサンは、こう言ってきたことがあった。
 「あなた、自閉症?」

 

 

 

 


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