『無気力一代男日記』 8.もう一つの仕掛け [俯瞰日記]
3週間程、3人チームの作業に交じって作業し、彼らにいろいろと質問をして、だいたいの工程内容をPCに入力した。
先月まで長く培ってきた怠惰ぐせ、いや、ゆとりのあるスケジュールのせいだろうか。正直、自分の業務スケジュールを以前のレベルに戻したくなった。
結果的に、そうなるかもしれない。
僕の仕掛けておいた、もう一つの仕掛けが作動して。
今回、3人チームの作業にコミットする際に、それまで僕が入っていた水曜の現業をまるまるアルバイトに任せることにした部分だが、ここには、僕の計算的予測がある。
この水曜の現業は、ある程度高度なスキルが要求される作業である。今回、ここを任せた中年のアルバイト・江藤のスキルレベルからして、彼が程なくドジを踏む可能性は高いと、僕は見ている。
つつがなく行けば、それはそれで、新体制を作った社員である僕にとって良いことなのだが、もし予想通り、彼がドジを踏んだら、つまり先方に不信感を抱かせるようなミスをしたら、以前のスケジュールに戻す必要が生じる。
そうなれば、僕は、水曜の研修から免れることになり、結果的に、火曜の僕のスケジュールは、天下り官僚的業務となる(火曜は、3人チームの業務がない)。
結果、
月曜 天下り官僚的業務
火曜 天下り官僚的業務
水曜 現業
木曜 夕方から現業
金曜 3人チームとの研修
となり、より僕の自由度は上がるというわけだ。
そして、これは、僕が無理にそうしたのではなく、不可抗力的に起きた水曜のトラブル(江藤の失態)を僕がフォローするために、しかたなくスケジュール変更したという理屈になる。
そういった段取りを経た結果スカスカとなったスケジュール、ということなら、弘前専務も口出ししないだろう。というか、正確に言えば、口出ししなくても、彼が瀬崎社長から、僕の業務スケジュールのことで責められることはないだろう。
人のミスに期待するわけではないが、江藤がヘマをしても、そうなったらそうなったで、自分にメリットがもたらされるという寸法である。
♪人生はゲーム
誰もが自分を愛しているだけの
悲しいゲームさ
(「スローなブギにしてくれ」 歌:南佳孝 作詞:松本隆)
俺、ゲームにどっぷりだ。
世界は、欲望ゲームの原理で動いている。
僕が今、ゲームと共にあることを、僕は見る。
僕が望んでいるのは、その先にあるのだが、作動しているゲームに目をつぶることなく、僕はそれを踏まえる道を行く。
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