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『無気力一代男日記』 9.世界=僕 を超えるのは誰? [俯瞰日記]

 零細企業の一社員が、日々、思い巡らしている。
 それは、とてもセコいレベルでの‘ハカリゴト’であり‘カケヒキ’である。
 だがどうだろう。スケールの違いは様々だろうが、実質そういうことが、世界中で、あらゆるレベルで起きているように、僕には思えるのだが。
 
 少しでも、ほかならぬ自分が得を取ろうとするゲームで回る世界。
 僕は、美しい理念と正義感に燃えて、それを変えたいなどとは全く思わないし、理念に沿って生きようとも思わない。そうすること自体、巧妙な、あるいは姑息な欺瞞と共に、ゲームに参加しているということなのだ。
 
 よく、隠遁したいと思う。
 だが、実際に隠遁しても、たぶん何も変わらないだろう。
 現実にハカリゴトを生きているのが自分自身である限り、ハカリゴトを超えたメタ世界としての隠遁先などない。今、生きているゲームの世界と僕は一体なのだから。
 そこを抜け出す存在は僕自身なのだが、抜けがらもまた、僕自身なのだ。僕が今認識している僕は、その両者の混沌である。
 世界=僕、は泥沼で、そこに蓮華が存在し得るとしたら、それは僕自身の中に見出されるものなのだろう。
 
 元より、僕はこの世界のゲームに参加しているのだが、心理的には隠遁していたい。
 人や社会との関係を完全に絶ちたいということではない。
 心理的に浸かることなく、世界を、彼らを、只、愛おしく見ながら暮らしたいだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 


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