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「 Can't Buy Me Love. 」 みんなそう言ってるよ [いつまでたっても テレビっ子]


 今やってるグリーンジャンボ宝くじのテレビCMのセリフがいいね。


 「 ‘ 幸せは、お金じゃ買えないんだよ~ ’ ってことをね~、僕はお金持ちになって言ってみたいの。」


 これは、なかなか本質を突いた言葉だ。

 僕も含めて、多くの人が、思わず共感したのではないだろうか。

 昔、ビートルズが、「お金じゃ、愛は買えない(Money can't buy me love)」と歌っていた。

 既に大金持ちになっていたポール・マッカートニーの、実感に裏打ちされた言葉だ。


 CM内の人物は、その ‘ 実感 ’ を求めているのだ。


 以前、ホリエもんが、『 朝まで生テレビ 』に出演している時(逮捕前)、他のパネラーに「お金より大切なものがあるんじゃないですか?」と問いかけられた時、即座に彼が、こう問い返したシーンが印象に残っている。

 「お金より大切なものって何ですか?」

 誰もが賛同してくれるであろう ‘ 無敵の定型句 ’ を堀江に投げた質問者は、ただ絶句するのみだった。

 この時、視聴者の多くは、堀江のことを、「やっぱり、この人、金の亡者だ。」と思ったに違いない。

 だが僕は、逆に、お金を超えたものを見出す可能性という意味では、定型句で問いかけた人より、堀江の方が圧倒的に近い位置にいると思った。

 数年後、堀江の著書を読むことで、僕の直観が当たっていたことを確認した。

 そこには、お金で確かに買えないものがあることを ‘ 直接 ’ 実感した時の体験が述べられていた。

 ただ得意げに、あの凡庸な定型句を述べる人間は、

 「じゃあ、あなたの言うお金より大切なものって何ですか?」と問いかけても、何も答えられない。

 そういう意味では、この無邪気な質問は、その人が、物事を本質的に考える人間かどうかを見極め得る試金石と言えるかもしれない。


 辞書上の意味を覚えても、定型句を唱えても、それを知ったことにはならない。

 自分が知らないことを、知っていると思い込むことによって、僕たちは、その意味を ‘ 本当に知ること ’ から遠ざかっているように、僕には思える。 


 「幸せは金で買えないことを、金持ちになって言ってみたい。」


 宝くじのコマーシャルで、そう語る人物は、金で買えない何かを、自ら確認することを欲しているように、僕には思える。

 つまり、この人は、多くの人が得意げに語る実感も体験もない定型句を鵜呑みにはしていないということだ。


 キムタク(SMAP)の歌う「もともと特別な Only One 」の如きご託宣を盲信し、その気になっているだけの人は、本当の意味で、特別な Only One としての自覚を持つことはできないだろう。

 せいぜい、そんな歌を歌う ‘ No.1 ’ 様に、喜んで巨万の富を貢続けるだけだ。


 とは言え、お金持ちにならなくても、それを超えた価値を見出している人は存在しているだろう。

 もちろん、僕は、そんな人間ではない。

 つまりは、普通の ‘ ゲス野郎 ’ とでも言うべきか。 


 僕のようにゲス野郎を自認する者は、こんなことを言われてもピンと来ない。

 「お金より大切なもの。それは──、愛だ。」


 このゲス野郎は、それを知っているように振る舞うことも、それを知っていると、自分に思い込ませることもない。

 「お金より大切なもの? わかんねぇ~よ。」と。


 でも、たぶん、少なからずの我らがゲス野郎でも、心のどこかで、「お金より大切なもの」を見出したいと欲しているのだと思う。

 本当に欲しているから、「お金よりも大切なものがある。」などという、一見美しい定型句を、お題目化してしまいたくない。

 特にゲス野郎を自認するゲス野郎は、なるべく自分に嘘をつきたくないのだ。


 「幸せは金で買えないことを、金持ちになって言ってみたい。」


 正直な言葉だ。

 そこがいい。


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